病気になるのを待つのはやめましょう

〇母と言い合いをしました。理由は私の言うことを聞かずに、病気になるのを待っているからです。以前にもお話したとおり、母は肺に変な兆候が出ています。肺を意味する舌の一部に歯痕がある・脈に根がない・肺が大きく肺気旺盛体・舌上の苔状の付着物がほとんどない・腎に水がたまっている・・・などがそれです。「このままだと肺か腎の病になるから、そうならないうちに手だてを打ってくれよ」と母の身体が訴えているわけです。ところが、母は身体の訴えを無視して「医者が異常なしって言っているのだから問題ない」と思っています。いかにも、西洋科学的信仰に凝り固まった高齢者の一般像です。これでは、身体がかわいそうで見ていられないので、怒ったわけです。

〇父は脳血管障害の家系であることは、すでに述べました。医師から「異常なし」の所見をもらっていた私の従兄(いとこ)は、すでに40歳代に脳卒中で急死しています。また、父の兄弟は、ほとんどが脳血管障害に罹患しています(これも健康診断は受けていて異常なしの所見をもらっていました)。これらは一体何を意味するのでしょうか?私から見れば、はじめから脳血管障害に罹患することが分かっていたにも関わらず、西洋医学は何もできずに脳血管障害になるのを待っていた・・・としか思えません。

〇私はハグレ者&嫌われ者なので、親戚とは半分縁が切れているため、彼らが東洋的に見てどのような所見を示していたのかは分かりません。しかし、父の状態を見ると「これから脳血管障害になるぞ」と身体が示しているので、従兄や父の兄弟も同様の状態であったと推測できます。それまで実家に寄り付かなかった私が、父の身体を見たのは2年くらい前で、そのときはすでに脳血管障害一歩手前の肝腎陰虚でした。医師には「何の異常もない」と言われていたようですが、東洋的に私の目から見ると”一歩手前”という表現がピッタリの状態でした。舌は真っ赤っか・脈は堅くてギシギシ・重心が上に偏っていて下肢が虚・肝のツボに実・腎のツボが虚・腰が重い・・・など、どこから見ても肝腎陰虚の脳血管障害予備軍でした。そのとき初めて刺鍼して、上にのぼっている気を下げて、同時に熱を下ろしました。結果として「肩が凝らなくなった、鍼が少しは効いたのかな」などと悠長なことを言っていますが、どんなに危なかったか説明しても、理解するつもりもないようです。

〇みんなお金のことは真面目に考えます。なくなってから慌てても遅いことが分かっているので、なくならないように色々な手段を講じます。しかし、身体のことについては、病気になるのを待っています。健康食品などを摂取している人もいますが、そのほとんどは西洋科学的発想のため、一直線に目的に向かっていると思えない場合も多いのが現状です。特に”一歩手前”の人の場合、健康食品程度では”焼け石に水”です。

〇西洋医学が優秀であることは疑いようがありません。本来であれば死亡する人でも、コンクリートを機械で掘り起こすように荒療治的手法を駆使して、無理矢理に命を救うことができます。しかし、対処するのが遅いのが欠点だと思います。もっといえば、病気になるのを待っているようにも見えます。東洋的手法は生態系を整えることによって病を改善することが本来のあり方なので、西洋的手法のように無理矢理にどうこうすることはできません。ですから、命のやり取りになったら西洋的手法にお任せする方が良いに決まっています。その代わり、西洋医学的病名がつく前にそれを予測して手段を講じることができます。巷(ちまた)では”未病治”などといって宣伝している様ですが、東洋的に見れば、すでに未病ではなく完全に病気の段階に入っています。

〇西洋科学的信仰に凝り固まることは恐ろしいと思います。西洋科学的信仰がない人はいないので、それは別に構わないと思います(そういう私自身も西洋的教育を受けて育ってきた)。凝り固まるのがいけません。凝り固まってしまうと、普通のことを普通に考えられなくなります。挙句(あげく)の果ては、口をあけて病気になるのを「まだか、まだか」と待っていることになります。そして、病気になったら大騒ぎをします。傍からみたら「病気になることはとっくに分かっていたではないか」となります。私の身内ですから、あえて厳しいことをいいますが、まるで、お金がなくなることが分かっていたのに何もせずに放置しておいて、一文無しになるのを待って生活保護の申請をしているのと同じではないかと思います。

〇生理痛や生理前症候群もそうです。子宮内膜症や筋腫・多のう胞性卵巣症候群などを持っている方が不摂生な生活を送れば、それらの病変が月経の度に少しずつ大きくなっていく可能性は充分にあります。子宮や卵巣にアマリモノが溜まって手術の適応となるのを「まだか、まだか」と待っている、ということにもなりかねません(参考:アマリモノは消失するか)。

〇そういう私も、かつては同じでした。月〜金曜日まで職場に泊まり、睡眠時間は平均4時間で、朝から晩まで部署間の調整や会議・打ち合わせに明け暮れる毎日を送っていました。そんな生活をしていたら、私の乏しい生命力ではすぐに尽き果てるのが分かっていたにも関わらず、大きな決断をすることを避け(逃げ)、限界を迎えることを「まだか、まだか」と待っていたわけです。だから、偉そうなことをいえない事は自覚しています。しかし、東洋的な見方が分かれば分かるほど、病名がつくのを「まだか、まだか」と待っている人が目について仕方がありません。

〇古人は貴重な言葉を残しています。
・肥甘厚味&辛辣酒酪な食物はアマリモノの元となる
・足を使う運動をすれば、脾が胃をもむ
・調子が悪くなってから治療を始めるのは、ノドが乾いてから井戸を掘り始めるようなものだ
・腹がすいてから食べ、腹がいっぱいになる前にやめ、足を使う運動をして早寝すれば病気なし
・皆、富貴を求める気持ちは旺盛だが、身体をいたわることには無頓着だ
・おてんとう様と一緒に生活することが大切
・我々は治療の事は真面目に考えるが、養生のことは真面目に考えない

〇病気になるのを待っている人に対して声を大にして言いたいと思います。そして、最近体調が良くて調子にのっている私自身にも・・・。「古人の言葉を思い出せ」「当たり前のことを当たり前に考えよ」と・・・。

(2011.1記)

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