なぜ無月経?-即効性を目指す鍼灸

〇最近、心脾両虚型 無月経に遭遇する機会が増えました。無月経のうち最も多いのは、心脾両虚ではなく腎陽虚です(当方の患者さんの割合)。腎陽虚は、冷え性型にピッタリと当てはまるタイプで、いわゆる虚弱体質+冷え性の典型です。腎陽虚型 無月経の場合、第三者が見ても虚弱体質と分かります。これに対して心脾両虚は、自他共に虚弱体質とは思われていません。どこも悪くなく、虚弱体質でもないのに、なぜ、月経が来ないの?・・・というのが心脾両虚型 無月経です。そのため、お医者さんも「なんで、あなたが無月経なの?」となります。

〇心脾両虚の具体的な症状を挙げてみると、
(心に関連する症状)*全部の症状が出るわけではありません
・極端に汗をかかない、逆に極端に汗をかきやすい(顔やわきの下など)→心の液は汗(五行色体表
・動悸がするなど、心臓に関連する症状がある
・肩甲骨の間がこる、痛い(左右のうち片方、または両方)
・舌の先が特に赤い、イチゴのようになっている etc

(脾に関連する症状)胃腸 型に含まれる症状 *全部の症状が出るわけではありません
・便が出にくい、または、軟便
・排便の出始めは形をなしているが、終わりの方は形をなしていない
・コーヒーやお茶で便がゆるくなる
・手足がだるい
・疲れやすい
・お腹がすきにくい、または、すきすぎる
・食後に膨満感がある
・すきっ腹が気持ち悪い
・胃が重い
・腸が動かない、または、動きすぎる
・お腹が鳴りやすい  etc

〇心は脾の親です(肝→心→脾→肺→腎)。簡単に説明すると、心の血液が胃腸の消化吸収の原動力です。そのため、心に力がないと胃腸に血液を送ることができず、消化吸収機能が減退します。つまり、母(心)が子(脾)を養うことができないわけです。漢方を服用した経験をお持ちの方も多いのですが、正しく心脾両虚と弁証していない場合も多くみられます。心脾両虚は東洋医学的病名ですので、それを間違っていたら効き目は期待できないでしょう。

〇虚弱体質型の無月経に2種類あることは、無月経の弁証論治で述べました。実証タイプの無月経は、エネルギーは充分に生産されているにも関わらず、気血が詰まっていて月経が起きない(血が出て来れない)タイプです。これに対して、虚証タイプ(虚弱体質)はエネルギーを生産できないため、この状態で月経血を無理に出すと、同時に気も漏れ出てしまい、エネルギー不足が増悪するので、それを防ぐために身体が防衛機能を発揮して月経を止めるわけです。

〇心脾両虚は虚証タイプ(虚弱体質)に当てはまるため、実証タイプのにようなイライラやヒステリーなどの激烈な精神神経症状はありません。かといって、腎陽虚のように虚弱による不快感もありません。そのため、月経が起きなくても全く不快ではない、として深く考えず「西洋的手法を使って無理にでも月経を起こせばそれでよい」とする考え方が多いのもこのタイプです(もちろん、人によって深く考えている方もいます)。

〇月経を自分の力で起こせることは、健全な生命力を有する証(あかし)ともいえます。安易な考えに走らず、自分の力で月経を起こせるようにしておくことは大切なことです。

(2010.12記)

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