月経の再来

突然、「すごいことになってる!」と患者さんから言われました。ドキッとして様子を尋ねると、「生理が来たのよ」とのことでした。この患者さんは50才代前半の方ですが、閉経してすでに3年が経っていました。しかし、今回は閉経する前と同程度の期間・量の生理が再来したのです。

 この患者さんの主訴は「腰の痛み」でした。そこで、脾に関連する2つのツボに集中的に鍼灸施術を行った結果、腰の痛みはなくなりした。その後、養生のために継続して鍼灸施術を希望されましたので、閉経期の症状として弱ってくる腎の強化を図ろうと考え、施術しました。その結果、鍼灸施術後の2日後に月経が再来したのです。

 閉経期は特に腎が弱くなります。腎は水分ろ過や泌尿に関する働きのほか、東洋医学的には生殖器、骨、脳、髄、呼吸、精神安定、など、生命力の根幹に関わる臓と考えられています。この臓の働きが鈍化してくるために閉経を迎えるわけですが、鍼灸施術によって患者さんの生命力を必要以上に呼び覚ましたらしく、今回のできごとが起きたわけです。

 鍼灸施術の過程で、「生殖器がカサカサで、いつも乾燥していたのが改善した」「乳房の感覚が若いときのよう」「手指のひび割れ、あかぎれが改善した」などという津液(潤い)回復の話は閉経期の方から聞いていましたが(参考:五行色体表)、月経が再び来たのは意外でした。今回、身体の機能がある程度まで向上したので、その後はあまり強い刺激を継続しても身体に負担がかかると考え、月経が来る一歩手前で抑えています。つまり、生理が来るレベルまでは持っていっていません(持っていこうとしても、持っていけないかもしれません)。

 ここで私が言いたかったのは、人間の生命力の神秘と東洋医学の威力です。今回、鍼灸施術でこのような現象が起きましたが、食事・睡眠・運動が大切なことはいうまでもありません。生活習慣の改善と鍼灸が結びつけば、閉経期の諸症状の予防と緩和に十分役立つものとなるでしょう。

(2010.04記)

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