理想と現実-月経トラブルよもやま話

〇鍼灸施術と”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”とはぶつかり合う。逆にぶつかり合わない鍼灸であれば、施術を受ける価値があるのか疑問だ。私も鍼灸をはじめた当初は、ぶつかり合うことがなかったように思う。替わりに、鍼灸の効果も極めて弱かった。鍼灸の威力が患者さんの身体深くまで浸透するようになってから、ぶつかり合いが生じるようになった(太い鍼を刺す・深く刺す・痛く刺す・熱く据える・・・のとは意味が違う。基本的に細い鍼で浅く刺すようにしている)。

〇”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”を受けている最中の患者さんの、腎系統のツボに鍼灸を施すとどうなるか?異常な倦怠感・激烈な生理痛・不正出血・月経周期が乱れる・・・など、身体の違和感が出現する。”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”の影響が抜けきってしまえば、こういった症状は出ない。西洋科学的には「低用量のものであれば、負担は軽い」とされているが、それはやられる部分が狭い、ということであって、深さは同じなのだろう。逆に、深さまでが浅くなったら効かないだろう。

〇私の施術方法に問題があるのか?と考えたことはあるがそれは当たらない。なぜならば、”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”を受けている方や、抜けきっていない方に限ってあらわれる症状だからだ。そうでなければ、たとえ70歳を過ぎて身体が弱っている高齢者でも、このような症状は出現しない。むしろ、「鍼は気持ちが良い」と言って眠ってしまい、次第に元気になっていく。どうしてなのか?と調べたが本には載っていない。先日お来しになった患者さんは、整体院で「”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”を受けている間は施術できない」と言われたらしい。また、友達の鍼灸師から「”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”を受けている患者さんの腎兪(ツボの名前)には刺鍼してはならない、と昔の師匠が言っていた。理由は分からない。」という話も聞いた。おそらく、生命力の根までしっかりとアプローチできる人は経験的に知っているのだろう。しかし、そんな人はそれほどいないので、「鍼灸施術と”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”とはぶつかり合う」という事実を患者さんばかりでなく、鍼灸院経営者ですら知らない場合も多い。

〇私が考えた理由はこうだ。
@”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”は、人間にとって都合の良いように恣意的に生殖器(月経)を操作する。そのため、人間の欲望にとって都合の良い状態になるが(固定されるが)、体内の生態系が乱れるため、自然な生命力の活性化が起こらなくなる(参考:生態系と生命力 最近、思ったこと)。
Aそれに対して2000年以上も前から続いている本来の東洋医学は、体内の生態系を整えることにより、自然な形で生命力が活性化するようにもっていく。
この2種類のアプローチは全く逆のことを行っているため、ぶつかりあいが生じ、足の少陰腎経や他の腎系統のツボに刺鍼(施灸)すると、人工的な反応があらわれる(腎は生命力の根)・・・というものだ。

〇東洋医学については誤解が多い。「鍼灸や漢方はジワジワ効く」などというのは間違いだ。本来の鍼灸や漢方には即効性がある。鍼灸の即効性は、当方の患者さんなら知っている人も多い。鍼灸が終わったと同時に「あ〜、気持ちよかった」といって頂ける方もいる。漢方においても、飲んでから24時間以内にスパッと効くのが本来の威力だ。その速さや強さは西洋薬に勝るとも劣らない。私自身が漢方薬の患者として経験しているし、漢方家向け雑誌の症例報告などにはそのような事例が載っている。しかし、こうした技は職人芸であるため、技術に精通している人はほんの一握りだ。大多数の施術者や漢方関係者はそれができないので、「ジワジワと効いている」といってごまかしてしまう。世の中に出回っている上っ面(うわっつら)の情報が、いかに間違いだらけか・・・ということを痛感せざるを得ない(「1回施術すれば・飲めば すぐに病気が完治する」という意味ではない。「1回施術・飲めば数時間〜翌日くらいには効いていることを実感できるだけの反応が現れる」という意味だ)。

〇最近では、”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”を受ける人が増えた。中には、”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”を受けながら同時に鍼灸施術を受け、多額のお金を投じる人も珍しくない。「たくさん通えば必ず改善できる」などと言って儲けている所もあるらしいので、患者さんは被害者にならないように気をつけた方が良い(良い施術所もあると思うので、全てがそうとはいっていない)。「〜さんが改善したから・・・」という理由で通っている人もいるが、”不自然に排卵や月経をコントロールする療法”を受けながら改善したのであれば、鍼灸がどの程度効いたのかを判断することができないので、厳しい目でみる必要がある。世の中に出回っている上っ面(うわっつら)の情報を鵜呑みにすると損をすることもあるので、注意が必要だ。鍼灸は加持や祈祷ではない。しっかりと確実に効かなければ意味がない。そうでなければ、大切なお金をドブに捨てるのと同じことになってしまう。どんなに追い詰められても、否、追い詰められているからこそ、冷静に費用対効果を見極め、着実に目標に近づく方法を探ることが必要だと思う。

(2010.10記)

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