〇当方へは、様々な症状を抱えた患者さんがお来しになります。それらの方々は、極度の実証や虚証などの体質的な弱点を抱えています。極度の体質的な弱点を抱えて、改善できずに生きていくと、たいへんな苦しみが伴います。普通のことを普通にするだけでも、多大な我慢と忍耐を強いられることがあります。実証の方は、イライラやストレスなどで情動不安定になりやすく、人と衝突してしまったり、アルコールやタバコの過飲をしてしまいがちです。また、虚証では、人との距離を置き過ぎたり、縮めすぎたり、精神不振になったり、疲れやすく、うつになったり・・・と
いう具合です。「誰でも多少そういうところはある」「誰でも我慢しながら生きている」といえる方は、まだ、幸せかもしれません。

〇確かに、完全健康体の人などはほとんどいません。ある程度の実証・虚証体質は全ての人が抱えています。しかし、極端な実証・虚証体質になると、精神力ではどうにもならないことがあります。それは、生理痛などの月経トラブルの苦しみを、人に理解してもらえないもどかしさに似ていると思います。しかも、その苦しみが四六時中あったら、それはたいへんなことです。体質的弱点を言い訳にしているわけではありません。病名のつく病気よりもたいへんな症状が、実際にあるのです。
〇ある患者さんから、「病院で病名をつけてもらえたときは、本当にうれしかった」と言われました。それまでは、「病気でもないのに”疲れた”などの理由で仕事や家事を休むことは、サボタージュだ」という目で見られていた、といいます。しかし、病名がつくと周りも理解しようとしてくれます。それまでの「病気でもないのに、できないのは根性がないからだ」「病気でもないのに、できないのはやる気がないからだ」
「病気でもないのに、できないのはわがままだ」などの見方は一変し、「病気ならば仕方がない」となったそうです。「本当に救われた」とおっしゃっていました。病名のつかない症状で苦しんでいる人の本音を聞いた気がしました。
〇本当にたいへんな人々を見るたびに、私の心の中にあるドロドロが燃え盛り、”体質的弱点(実証・虚証体質)からくる不平等への憎しみ”となって、爆発寸前になることもあります。「どうしてこの人は、こんなに大変な思いをしなければならないのか」「どうして神様は健康すらも平等にしてくれないのか」「どうして?ちきしょう・・・」となり、自分自身の人生と重ね合わせ、眠れなくなることがあります。
〇私は、生まれつき虚弱体質の典型です。父は脾気虚(吐き気タイプ)で母は極度の腎陽虚(冷え症タイプ)ですから、子供の私が健全であるはずがありません。中学の頃は下痢、髪の毛が抜けて薄くなる、不眠、ノイローゼ・・・など、当時は病名のつかない症状のオンパレードでした(当時は心療内科などは聞いたことがありませんでした)。「調子が悪い」と親に言っても、「気持ちの持ちようだ」などといわれて終わりでした。西洋科学的考え方では「人は皆同じ」「やる気があればなんでもできる」などというのが正当な論理としてまかり通っていますから、虚弱体質などといっても見向きもされません。「常に不眠で、1日おき(夏は毎日)に下痢する生活が年単位で続いたらどうなるか」などと考えてくれる人はいませんでした。
〇また、友達が「脳脊髄液減少症(東洋医学的には腎陽虚の極み)」という最近病名がつけられた病気(当時は病名などはなかった)で死にかけたことがあり、その苦しみを身近で見ていただけに、体質的弱点(実証・虚証体質)からくる不平等の下にさらされている人を見ると、どうしても人ごとだと思えません。また、勇気を出して恥をさらしますが、私は肉親とは離れ離れになっており、妹の顔すら7年以上見ていません。甥(おい)や姪(めい)と口を利いたこともなければ、顔すらほとんど見たことがありません。異常な親や妹との関係だと思います。原因は私にありますが、もっと根本的な原因は「親や姉妹がすべて生まれつき虚弱体質であり、当時私は鍼灸をやっていなかったため改善できなかった」ということにつきると思います。本当の虚弱体質になると、身に降りかかる火の粉さえも払えなくなります。理不尽な扱いを受けても、「やめていただけませんか」の一言を言うことすらできなくなります。勇気を奮って言ったとしても、多大な生命力の消耗を伴います。生命力の消耗を嫌うがあまり、できるだけ言わないで我慢する方向にもっていこうとします。そして、自分の身近な人にもそれを強要しようとする傾向があります。しかし、それは当人が悪いわけではありません。虚弱体質が悪いということは、今だから分かります。だから、なおさら体質的弱点(実証・虚証体質)からくる不平等に我慢がなりません。私は、自分の中でドロドロと燃える”不平等に対する憎しみと怒り”を消すことができないため、鍼灸をやっているに過ぎません。
〇東洋医学は残酷です。患者さんの体質(本性)の一部を覗(のぞ)くことができてしまうからです。覗かなければ鍼灸施術ができないのですから、仕方がありませんが、やはり怖いものがあります。「今は大した症状でなくても、今後の数年以内に何かが起こる」ということが、かなり断定的に分かってしまうこともあるのです。例えば、腎虚の方で特定の症状(脈・舌・ツボの状態など)がでている場合は、五行色体表一番右の列(冷え症タイプのところ)のいずれかが重度にやられる、などです。私も初めて本で読んだときには半信半疑でしたが、数人の患者さんが本当にそのような症状に陥り、苦しむのをみました。苦しむことすらできなくなった方もいます。当初の症状(強い生理痛など)は黄色信号ですから、警告を受け入れて生活習慣を改善した方は、最悪の事態を回避しています。しかし、当初の症状がある程度改善したり、大したことはないからといって、悪い生活習慣を続けていた方の中には、最悪の事態になった方もいます。こんなことが予見できたとしたら、怖いものがあります。
〇先日、「HPに書いているのは、私のことでしょう。HPに書くのは止めて下さい。」と患者さんからご指摘を受けました。このHPでは、多くの患者さんやHP閲覧者が陥りやすいケースについて、「誤った健康法だ」などと強く指摘しました。特定の人について書いたわけではなく、多くの人が陥りやすく、また、自分自身もかつて陥った間違い健康法について述べていますから、ほとんどの方がご自分に心当たりがあるのではないか、と思います。心当たりがない人はゼロでしょう。しかし、患者さんからみれば「自分のことを書かれているのではないか。何もHPに書かなくても」と思うのも無理はありません。「最近、タバコを吸う患者さんが多いなあ」と感じたときは「禁煙は当然」と加筆し、「運動を嫌う患者さんが多いなあ」と思ったときは「運動を避ける理由を探さない」と付け足し、「働きすぎ、勉強しすぎの人が多いなあ」と感じたら「働きすぎは生命力を削る」などと付け足していましたので、当然、その直近に来られた患者さんは「自分のことを書かれた」と思ったでしょう。私の配慮が欠けていました。もし、このHPの内容が原因で、患者さんを傷つけてしまっていたとしたら、たいへん申し訳ありませんでした。猛反省し、心からお詫び致します。
至らぬ点ばかりで愚か者の私が作成しているHPですが、少しでもまともな内容になるように努力します。どうか今後とも悪い点については、ご指摘くださるとありがたいと思います。
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