公平と不公平 

〇「世の中は不公平にできている」以前の私は、そう思うことがよくありました。自分の恵まれている点はかえりみず、自分の身体の不調ばかり気になっていました。「生まれつき丈夫な人と虚弱な人がいる。全然平等ではないじゃないか。」などと、いつも不満を抱えていました。
 
〇今、鍼灸師になって言えることは、「健康面も一生のスタンスでみたら、ある意味平等に近くなってくる」ということです。元来が健康な人は、少しくらい不摂生をしても病気になったりしないので、食べ過ぎや夜更かしなどを重ねて、身体に負担をかける生活をおくりがちです。しかし、元々、身体が弱い人は、少しの不摂生でもすぐに症状として出るため、身体に負担をかけないように気をつけます。それが月単位、年単位、・・・何十年と重なっていくと、「アリとキリギリス」の童話にあるように、弱者が強者に追いつく場合があります。その結果、いつの間にか立場が逆転し、元々、身体の弱い人が高齢になっても元気で暮らしていたり、逆に元来、身体が丈夫な人があるときをキッカケに、人が変ったように弱々しい毎日を送っている例をみる機会が何度かありました。

〇昔から、「養生は治療よりも大切だ」などという言い方をしますが、本当にそのとおりだと思います。養生とは、言い換えれば欲望に勝つことです。欲望に勝って摂生に努めた人には、そのご褒美として健康が手に入いります。また、逆に欲望に負けた人には、その見返りとして病気などに見舞われるという言い方もできます。もちろん、全てがそうではありません。どんなに健康面に気遣っていても、病気や不快な症状になるときがあります。どんなに生活に気をつけていても生理痛・子宮トラブルになる人も大勢います。しかし、ちょっとした工夫や自制で健康的な生活を送ることができることも事実です。

〇今の世の中、普通に生活すれば健康的な生活とはほど遠いものになってしまいます。夜は遅くまで起きていて、朝はその反動で目が覚めないのでコーヒーをがぶ飲みし、食べるものは肉食がメインで野菜は少なく、甘いものも大好き。運動はほとんどせずに、タバコやアルコールはやる。・・・などという毎日では身体を壊すために生活しているようなものです。 
 以前、こんなことがありました。関西の方からお電話くださった方で、「そちらの鍼灸施術を受けたいが遠くていけない。どうしたら軽減できるか?」とのご相談をいただきました。症状を聞くと、胃腸虚弱から来る生理痛・子宮トラブルでしたので、「甘いものは控えて、特に肉食は食べ過ぎないようにして腹八部でやめてください。また、運動はできる限り行ってください。」とお答えしました。お答えした私自身、それを実践して本当にどの程度よくなるのか不安でしたが、約1ヶ月後に「食べる量を減らし、スポーツクラブへ行って運動をするようにしたら、生理痛・子宮トラブルが大幅に軽減した。」とのご報告をいただきました。こんな例は他にもあります。
 
〇これらの見聞きしたことを踏まえて言えることは、「養生こそ健康面での不公平を埋める重要な要素だ。」ということです。養生は貯金のようなものです。養生をすることで、生理痛・子宮トラブルの苦しさを知らない人との差が日に日に縮まっていきます。そこに鍼灸施術が入れば尚更です。
 これは生理痛・子宮トラブルだけの問題ではなく、その延長戦上にある閉経期の問題にも直結して行くと考えています。生理痛・子宮トラブルと閉経期の問題は切っても切れない関係にあります。養生はその人の人生を決める上で、たいへん大きな比重を秘めていると言っても過言ではありません。
 
〇私自身の反省も踏まえて、生理痛・子宮トラブルに悩む皆さんにぜひともお勧めしたいのは、「ぜひ、鍼施術を受けるとともに、養生に努め、健康で有意義で生理痛のない生活を送っていただきたい。」ということです。そして、病人や半健康人が1人でも減って、生命力と活力に満ちた社会が実現したら最高だと思います。「生理痛・子宮トラブルが改善しました」とのご報告を一人でも多くの患者さんからいただければ、鍼灸師としてこれほど幸せなことはありません。

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