子宮筋腫や内膜症への鍼灸によるアプローチ

〇腫瘤
腫瘤のことを伝統医学では、癥瘕(ちょうか)といいます。西洋医学的用語では、子宮筋腫・内膜症・腺筋症などの腹部腫瘤のことをいいます。具体的に説明しますと、癥(ちょう)とは、形があり硬くて移動性がないものをいい、血が結して形になるものを血癥、食積が原因で形になるものを食癥といいます。それに対して、瘕(か)とは形がなく集まったり散らばったりするもので、気が滞れば形ができ、気が巡れば散って痕跡もなくなります。

〇癥瘕(ちょうか)の中身
実際には、癥と瘕は複雑に絡み合って存在していると考えられます。そのため、子宮内膜症を罹患している方に鍼灸を施した結果、「前回の検査では7.0cm、今回の検査では3.5cm」などということがあります。この場合、小さくなったのは、瘕(か)の部分だと考えられます。問題は癥(ちょう)ですが、現在のところ、当方の鍼灸で消失した例はありませんが、手術を回避できた例は存在します。たとえ一時的に消失近くまで追い込めても、再び形をなしてくる可能性は排除できません(月経の状態を上手にコントロールできれば、そのままの状態で維持できる可能性も充分あります)。高名な婦人科漢方医が著した本にも、「一度形成されたものは治療しても消失しない」と記されているため、漢方についても同様だと私は解釈しています。私の考えでは、抗がん剤で悪性腫瘍が一時的に小さくなるのも、同様の理屈と考えています。

〇現実
当方には、子宮筋腫・内膜症に罹患した方がよくお来しになります。その中には、「本場」をうたった鍼灸院に通った経験がある方も珍しくありません。先日、いらした方は、『本場をうたっている鍼灸院で「頻繁に施術を受ければ子宮内膜症が消滅する」と言われてその通りにしたが、大きさは変わらないし、生理痛さえも軽減しない』とのことでした。実際に、こんな話は山ほどあります。

〇それでは鍼灸は無効か?
無効ではありません。有効です。鍼灸でできることは、”生理痛や前症候群などを緩和すること・瘕(か)の部分を小さくすること・現状以下の大きさを維持すること”です。血液検査の結果が正常になることも多いことから、器質的病変を不活性な状態に据え置くことができるようです。

〇誇大セールストーク
世の中では、誇大なセールストークが蔓延(はびこ)っています。セールストークの範疇(はんちゅう)で済めばよいのですが、一歩間違えれば詐欺罪にも問われかねないものまであり、患者さんは注意する必要があります。こうした商法は、病名を告げられて精神不安定なところを狙って入ってきますから、性質(たち)が悪いのが特徴です。誇大セールストークにだまされないためには、まず現在発症している症状(生理痛・前症候群など)を改善して、冷静になって考えてみることが必要です。

(2010.11記)

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