貴重な存在-月経よもやま話

〇旧知の友人に10年ぶりに電話した。高校時代からの腐れ縁だ。当人は私に似た部分を持っているため、行動をともにしているとスゴク楽なのだが、それでは自分が変われないような気がしたため、わざと連絡を絶っていた。彼は”自分から友達には連絡しない”という方針を以前から貫いており(だから友達がいない)、その結果、10年という歳月が流れてしまった。10年ぶりに電話する前は緊張した。「結婚していたら、別の所に住んでいるのかな」「人格が変わっていたらどうしようかな」「今頃なんだよ、って言われたらどうしようかな」など色々な不安がよぎったが、勇気を出して電話してみた。

〇まず、電話に出たのはお母さんだった。10年前と同じ声だった(正確には高校時代から余り変わっていない)。親子電話の親機から子機につなぐ時に流れるメロディーも同じだ。ここまでで半分緊張がほどけた。その後、当人が出て話したのだが、10年前と全く変わっていなかった。職場も同じ、考え方も同じ、携帯電話も持っていない、パソコンもいじくれない・・・。そんなシーラカンスのような奴と話していて、心底ホッとした。電話して良かった、と心から思った。

〇私にとって奴は「高校時代の同級生」という感じではないし、「友達」という感じでもない。空気のような、幼なじみのような、類は友を呼ぶのような・・・なんと表現してよいのか分からない。とにかく、最も気を使わずに自分をさらけ出せる存在だ。私の人生の中で、たいへん貴重な存在であることは間違いない。

〇友人といえば、ほかには小学3〜4年頃から付き合いがある者もいるし、10代から付き合いがある者も数人いる。鍼灸学校時代や前職から付き合っている者もいる。これらの友人は、みんな本当に貴重な存在であることを再認識した。気を使わずに言いたいことを言える友人は、今後、益々大切な存在となるであろう。

〇私にとって親・兄弟・友人とともに、もう1つ大切な存在は患者さんである。患者さんに食わしてもらっているのだから当然なのだが、それだけではない。私の鍼灸施術を受けて下さって「こいつの鍼灸に金を払う価値はあるな」と少しでも思って頂けるのであれば、それが何よりもうれしいのだ。

〇私にとって鍼灸は特別だ。体質的弱点(実証や虚証)を原因として、様々な困難や苦しみを乗り越えていかなければならない同士において、私の鍼灸施術を便利に使って頂けるのであれば、こんな幸せなことはない。私の場合、東洋的鍛錬法−鍼灸−養生法−生きていくにあたっての考え方−人間関係etc・・・が横のラインでつながっていて、全てが東洋的発想で結ばれている(つもり)。そして、それらを全身全霊をかけてやろうと(一応)思っている。だから、「鍼灸はお金を得るため」と完全には割り切れていない(それがダメなのかもしれない)。そのため、私ごときの鍼灸に少しでも価値を感じて下さっている方々は、旧知の友人と並んで貴重で大切な存在なのである。

〇人間づきあいが得意ではなく、口べたで営業トークなど言えない無作法者の私にできることは、患者さんが少しでも楽に生きられるように、ない頭を振り絞って考え、技術に転化することだけだ。大した素質もなく、肩書きなど何もない私だが、とにかく患者さんが良くなることだけを考えて鍼灸に没頭しようと改めて思った。

(2010.12記)

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