異常亢進-月経よもやま話 

〇徹夜明けの朝、疲れきっているはずなのに、すごくハイな気分になったことはありませんか?頭がぼやけたとき、ブラックコーヒーを飲んで、この上なくスッキリした気分になり、前よりももっと仕事がはかどったことはありませんか?運動能力の限界を迎えているにも関わらず、もうすぐトレーニングが終ると思った瞬間、疲れを忘れて運動できたことはありませんか?これらは皆、精神的限界を打ち破った結果です。自分の限界に挑もうとする人は、いかにしてこの精神的限界を突き破るかに腐心します。しかし、精神的限界は心身を守るためには、なくてはならないブレーキであり、決してジャマなものではないのです。精神的限界を超えて何かを行っている状態を「異常亢進」といいます。異常亢進とは、言い替えれば「無理矢理に力を振り絞っている」状態です。自動車に例えれば、許容範囲を超えたスピードを出して、車体が振動している状態です。この状態を日常的に続けていれば、自動車は廃車処分にする日がどんどん近くなってきます。同様に人間も無理を続ければ、生命力そのものを傷つけることになります。 

〇自分の立てた目標に向かって、体力・精神力の限界に挑むことは、すばらしいことです。しかし、それが度を過ぎると病気になったり、寿命そのものを縮める結果となります。それでは、どこでやめればよいのでしょうか?その答えとして「無理は最小限にとどめてください」としか言えません。限界は人それぞれ違います。政治家のように、多大なストレスをため込んでも平気でいられる強い人もいれば、少しのストレスでも心身を壊してしまう人もいます。自分の寿命を縮めないためには、まず、自分自身を知ることです。自分自身を見つめることは、たいへん勇気がいることですが、そこから逃げてばかりもいられません。
 
〇私も、かつては自分自身が弱い人間であることを認めたくなくて、強がって生きてきました。鍛錬どのおかげで丈夫になった私は、調子にのって思うがままに無理をした時期がありました。仕事や勉強でも徹夜は当たり前で、何日も家に帰らず仕事をしたことがありました。また、空手道でも某流派の全国大会に出場したこともあります。そうして生きてきた結果、通常に生活することすら不便を感じる程度まで、心身を壊しました。真冬などはタウンジャケットを2枚重ねで着ても、寒さで震えていたこともあります。
 ここでは、具体的にそれらを語る勇気がありませんが、現代医学的にいえば、心療内科+内科+整形外科といったところです。しかし、私と同じような生活をしても、身体を壊さずにいられる人もいます。それは、人それぞれによって、キャパシティ(エネルギーの量)が違うからです。

〇私も、自分自身の身体を壊してから、ようやく自分自身を見つめることを覚えました。自分自身を見つめるとは、自分の弱さを発見することです。私のような愚鈍な者には、それにはたいへん勇気が必要でした。特に東洋医学の考え方に当てはめてみると、かなり重症であることを認識せざるを得ませんでした。「強い人のように生きたい」「心身の強さに任せてガンガン前のめりに生きたい」「好きなものを好きなだけ食べたい」そう思う気持ちを捨てきれずに苦い思いをしたものです。しかし、時間をかけて、弱い自分と向き合うことを覚え、自分にあった鍛錬・養生に努めた結果、身体も徐々に快復して今の健康な状態に戻ることができました。

〇自分に無理をしてガンガン生きることも必要です。その結果、心身ともに成長することも事実だと思います。しかし、それもキャパシティ(収容能力)の範囲内のことです。キャパシティを超えると、今度は成長から減退へと転化します。そして、寿命そのものを縮めることになります。「やりたいこともやれずに長生きしても意味がない」とのご意見もあると思いますが、それは人それぞれの価値観の問題です。ただし、生命力を失った状態で生きていくのは辛いものです。心おどることは少なくなり、毎日がうつろに過ぎていきます。今を生きている感覚などなくなってしまいます。昔の偉いお坊さんも「多念は邪念」と言っています。自分の夢や欲望のため、健康を顧みずに生きることを戒めているのです。

〇無理をし過ぎている人はいませんか?その結果、心身を壊している人はいませんか?もう1度、自分自身を顧みて充電してみませんか?無理な仕事を貫徹することは、勇気と根性がいります。しかし、仕事を断る勇気の方が尊いこともあります。何よりも自分自身の人生なのですから。


(2007.06記)

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