補的生活-月経よもやま話

〇補法と寫法
 鍼灸には「補法(ほほう)」と「寫法(しゃほう)」があります。補法とは、鍼灸技術を通して身体内のエネルギーを補う方法です。寫法とは、いびつにたまりすぎたエネルギーを漏らすことです。月経トラブルも含めて、鍼灸技術は大きく分けるとこの2種類の手技の組合せでなりたっています。中心を成すのは補法です。寫法を多様すると、必要なエネルギーまでも体外に出てしまうことにもなりかねないため、最小限に使用する技術です。

〇日常生活にも当てはまる
 この補寫の概念は日常生活にも当てはまりますが、私自身も含めて補寫を正しく使い分けている人はあまりいません。「補寫を使い分ける」ことは理屈で考えると、難しいことではありません。当たり前のことを当たり前にすれば良いのですが、実際に行動するとなると完璧に実践している人はいないでしょう。 例えば飲食を例に挙げると、運動して健全にお腹がすいて、野菜や大豆類・小魚などの質素な食事を腹八分に摂取することは補法です。このような正しい運動と飲食は、胃袋に入れた食物が無理なく効率的に消化吸収され、身体のすみずみまで回るからです。つまり、身体のエネルギーを補っているのです。逆に仕事でストレスをいっぱいためて、そのストレスを発散するために動物性たんぱく質と脂肪たっぷりの食事(現代の普通の食事)を腹一杯食べ、場合によっては甘いものやアルコールでごまかして遅寝する。休日は運動不足の不安を解消するために、最近流行の画面を見ながら行う運動で運動したことにする生活は寫法です。月経トラブルには逆効果です。

〇身近な例
 補法と寫法を身近なことから例を挙げて考えてみましょう。@寫法(必要なエネルギーを消耗してしまう)・・・肉食過多(現代の異常が正常になってしまった欧米流飲食生活は、普通に食すると寫法になります)、腹一杯食べる(腹八分でやめましょう)、運動不足(少し歩いた程度や室内で画面を見ながら行う運動は、運動のうちには入りません)、遅寝(睡眠時間は充分でも、23時以前には寝たいものです)、お茶・コーヒー・紅茶(成分だけ分析して、良いものが入っているから身体に良いという発想は、単純で実状にそぐわないのです。心臓・肺が亢進し、頭がスッキリするのは上実下虚といって正しい身体の状態ではありません。肝の通りは良くなりますが、脾胃・腎・膀胱は虚になります)、過度な性行為(欲望に従って行動すると精気を漏らします。パートナーとの関係もあり、難しいかもしれませんが)、月経(これは仕方がありません。月経で失われるエネルギーを補うために、正しい生活に努めましょう)、仕事のやり過ぎ(個人の努力ではどうしようもない場合も多々)、過度な喜怒哀楽、冷飲食、酸苦甘辛塩の極端な食事、人にばれたら困ることをする(腎が虚します)・・・など。A補法・・・野菜中心の質素な腹八分の食事、公共の体育館やスポーツクラブでの正しい運動、早寝、温かい麦茶などの神経興奮実質が入らない飲み物、欲望を抑えること、心を平静に保つこと、ずるいことはしない・・・など。

〇自分自身の反省
 こうして並べてみると、私は全くダメです。皆さんはどうでしょうか?月経トラブルを改善するためには、補的生活をいかに増やすかにかかっています。完璧にできるはずもありませんが、少しでも寫より補を増やすように努力された方が良いと思います。ダメな見本である私自身への自戒の念を込めて・・・。

(2008.10記)

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