「私は本当は東洋医学を信じていなかった」と自覚した事件

〇4〜5年前の冬のことだった。ヒョンなことから腰痛になってしまった。激痛ではなかったのだが、波があってジワジワとイヤな痛みが続いた。背中のツボに施灸したかったのだが、手が届かない。そのくせ、私はわがままで、”威力のない鍼灸”や”ブッキラボウな鍼灸”は大嫌いなので、友人に施術してもらうのもイヤだった。

〇お腹や足に施灸して凌いでいたが、相変わらず痛い。毎日やっている東洋的鍛錬法も、足腰に負担が加わると悪化するのではないかと思い、休んでいるから、胃腸の調子まで悪くなり、イライラしてきた。どうにも方法がないので、荒療治とばかりに、思い切って鍛錬法をやることにした。

〇私がやっている東洋的鍛錬法は、普通の椿歩のみではなく、片足で立った状態で深く膝を曲げる(腰を落とす)やり方だ。膝にも腰にも強い加重がかかるので、自殺行為とも思ったが、他に方法がないので、思い切ってやってみることにした。

〇まず、高い位置で立つ椿歩をやったら、腰の痛みは半分くらいになった。「え〜」と驚いた。次に足腰に強い加重がかかる鍛錬法を20分間行ったら、腰の痛みは1時間前の1/3以下になり、ニコニコ顔で帰宅した。そして、翌朝には全快してしまった。

〇この時、私は「しまった!」と思った。「私の鍼灸は純粋な東洋的なやり方だ」などと大きな口を叩きながら、心の底では東洋的なやり方を信じていなかったことが露呈したからだ。

〇つまり、「足腰に物理的に負荷がかかるから腰に悪い」または「腰に関係する神経に問題があって腰痛になる」などとする西洋科学的な発想ばかりを信じ、「たとえ物理的に強い負荷がかかっても、生命力が活性化すれば病は治ってしまう(腰は腎の外府)」とする東洋的な発想を信じていなかったことを意味する。

〇このことがあって以来、自分自身の身体の不調は、東洋的鍛錬法で治すことが以前よりも可能となった。そして、鍛錬−鍼灸−漢方が自分の身体の中で、どのような変化が起こるのかが、以前よりも分かるようになった。また、他の鍼灸師や漢方家が、いかに東洋医学を信じていないかも、以前よりも分かるようになってしまったのも皮肉なことだ。

〇インターネットを見ると、東洋医学を標榜する所が無数にある。しかし、そのほとんどは「〇〇ホルモンが〜」とか「〜神経が」などと、西洋科学的なことをうたっていて、それがあたかも東洋医学であるかのような言い回しをしている。これらはもはや東洋医学とは言わない。西洋科学的な土台の上に、少し東洋的なものをのせて東洋医学と標榜しているだけのことだ。・・・こんなことも、以前よりもひっかかるようになってしまった。

〇本来の東西融合とは、西洋と東洋を混ぜこぜにして、中途半端なものにすることではない。頑強な力士が仁王立ちしている時、前から押してもダメなら(西洋的手法)、今度は真後ろ(東洋的手法)から押してみる方がグラつかせる可能性は高くなる。これらは、それぞれの手法に精通している職人であるほど、成功率は高くなる・・・ということにも確信が持てるようになった。

〇意識改革は色々な方面で必要だと思った。以上、私自身の反省から・・・。
(2011.07記)

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