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〇「女性は全員が冷え症で、男性は冷え症ではない」とする短絡的発想が世の中にはまかり通っていますが、それは間違いです。女性でも熱証の人は普通に存在しています。舌を出してみて、舌が真っ赤っかで絞まっている人や、舌の上の苔(こけ)状の付着物が黄色い人は、熱証である可能性があります。
〇どうしてこのように短絡的な発想がまかり通っているのでしょうか?推測してみると「女性は冷えに敏感にできている」「冷えを商売にしている側のセールストークに洗脳されている」などが原因かもしれません。
〇以前に書いたように、どんなに頭が良い人でも、健康のことになると、まるで子供のように短絡的な発想にはまります。「誰でも彼でも、水は1日〇リットル以上飲めばよい」とするデマが良い例です。そのため、熱証(多くは虚熱証=虚弱な熱が体内に篭っている)の女性であっても、ご自身のことを寒症だと思っている人が大勢います。舌は真っ赤っかで絞まっている(又は苔状の付着物は黄色)、脈は速め、顔はほてる、手のひら・足の裏もほてる、冷えを自覚するのは冷房下と冬、だけど私は女性だから冷え症・・・こんな感じです。
〇寒証(冷え症)の人には温補を施し、熱証の人には清熱を施すのが基本であることは、皆さんにもご理解頂けると思います。もし、熱証の人に温補法を施せば、熱に熱を加えることになるわけですから、虚火が高ぶり悪化する可能性があります。悪化しない場合でも良くはならないでしょう。
〇1800年前の東洋医学のバイブルといわれている古典に「脈が微数の患者には施灸はしてはいけない。熱証の患者に熱を加えれば、熱が益々勢いを増し、病状が悪化する。これを火逆という。」と書いてあります。実際には、高齢者特有の肝腎陰虚の極みでない限り、ひどく悪化することはありませんが、漢方でも鍼灸でも熱症の人に熱を加ても良くならないことは、理屈から考えて明白です。
〇逆に冷え切っている人には、お灸を中心に温補法に徹します。特に腎陽虚で冷え切っている人には、鍼を打っても良くならない場合も普通にありますので、その場合はお灸のみで対処します。
〇巷では、熱証の人が「私は冷え症」として、生姜などの熱を増す食べ物を無理に食べたり、市販のお灸を据えまくる人が多く見られます。こうした行為が効果をあらわさなければ何の変化もないでしょうが、効果をあらわした場合には悪化するかもしれません。健康志向の強い人は、余計なことを行って生命力を消耗する例が良く見られますから、気をつけたほうが良いでしょう。私が必ずしも自宅施灸をお教えしたくない理由はこんなところにあります。
〇これらの話は、私が創作したわけではありません。東洋医学の専門誌には普通に書いてあります。また、身近な例では「命の母」などに含まれている大黄(ダイオウ)は苦寒薬であり、清熱寫火・清熱解毒・清熱涼血などの作用がある代表的な成分です。市販の漢方薬は全て身体を温める成分のみ、と勘違いしている人も多く存在しますが、そんなことはあり得ません。しかし、「身体の余計な熱を取り去る」と宣伝したら、拡大解釈されて「身体が冷える」と誤解され、売れなくなるかもしれませんから、そのようなことを言えないのが現状でしょう。
〇世の中に出回っている上っ面な情報ほどあてにならないものはありません。そして、多くの人がそれらの情報に洗脳されています。わが国は東洋の国であるにも関わらず、中国や韓国とは違い、国が西洋医学のみを正式に医学として認めているため、我々も生涯にわたってそのような教育を受けますので、単純な発想に偏りがちです。生命力はお金と同様に大切なものですので、むやみやたらに手を出してムダな運用をすると目減りすることがあります。ぜひとも慎重に運用しましょう。
(2011・4記)
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