※このページは難しく分かりにくいので、簡単編 をご覧ください。
(注)女性に対して「冷え性ですか?」と聞くと、たいていの方は「はい、そうです」と答えます。しかし、実際には冷えが原因で生理痛・過少・無月経などのトラブルなどにかかっている方は、そのうち3割くらいです(当方の患者さまの割合)。なぜ、女性は「自称・寒証」が多いのでしょうか?それは、妊娠した際、胎児が流れないように、寒に敏感にできていると思われます。それは、女性に便秘が多く、男性に下痢(軟便)が多いことと同様です。よって、極度の冷え性(虚弱体質)ではない限り、吐き気 型またはストレス・イライラ型と考えてください。
東洋医学的には※腎( ※は下欄、東洋医学(鍼灸)の豆知識参照)機能の低下により、回復能力・自然治癒力・生命力が弱ることにより、痛みなどが発生します。腎は生命力を主り、元気の源です。植物に例えると根であり、家に例えると土台です。五臓は全て重要ですが、特に腎の重要性は他に類を見ません。腎が低下すると、水分代謝がうまくいかなくなり、五臓全般に悪影響を及ぼし、生理痛・過少・無月経などのトラブルも悪化します。消化液の分泌機能の低下により胃腸虚弱、脈管機能の低下により血圧異常や脳血管障害など、肝の低下(腎は肝の母)によりストレスの増大、お風呂に入ってのぼせる、寒証になる、など多岐にわたります。実際には、他の症状と組合わさって生理痛・過少・無月経などのトラブルが発生する場合がほとんどです。
V-1 生命力低下による生理痛・過少・無月経などのトラブル(下記の寒の侵入と同時に発症する場合がほとんどです)
※は下欄、東洋医学(鍼灸)の豆知識参照
自然治癒力の低下のために気の通路が虚になり、子宮を中心とする血液に対する調節機能が失調すると生理痛・過少・無月経などのトラブルが起こります。血液が不足するので経血量は少なくなったり、止まることもあります。経色は淡く、経質は希薄となります。また、耳鳴り、めまい、腰のだるさ、目が疲れやすい、などの症状を伴うこともあります。
(症状、所見)
ア 主要症状・・・生理痛・過少・無月経など。月経血量は少なく、経色は淡く、経質は希薄
イ 舌脈所見・・・舌の色は淡く、舌の上の苔状の付着物は薄い、脈は奥深いところを流れているようであり、弱い
ウ 普段から見られる症状・・・うつ、抜け毛が多くなる、白髪が増える、視力の低下、目やにがでる、目を開いているのが苦痛、瞳が散大し目の前がちらついてよく見えない、明るいところに出ると目が痛む、目の凝視力がなくなる、瞳に汚点が現れる、耳が遠くなる、耳に黒色を呈する、耳に活気がなくしぼんでくる、耳に垢がついて汚れてくる、耳鳴りがする、鼻汁がたまる、鼻血がでる、口内が荒れる、口内が乾く、扁桃腺が腫れる、咽喉が乾いて水が欲しくなる、声帯が変調して声がかれる、咽喉に痰がからむ、歯槽が腫れる、歯質がぼろぼろになる、虫歯ができる、歯茎が動き出して出血しやすい、歯肉が落ちる、舌が紅滑にして乾く、首や肩背に寒気を感じる、腹直筋がひきつって下腹がはる、下痢をしやすい、体にむくみがでる、顔面や目の回りがむくむ、発汗して寒気がしやすい、少しの隙間風にも寒気を感じる、顔色が黒ずんで活気がない、小便黄色、多尿になる、尿を漏らす、夜尿する、腹にガスがたまる、尿に甘いにおいがする、起居が苦痛に感じる、横にごろっと寝たくなる、いくら寝ても眠い、朝なまあくびがよくでる、全身がだるくて疲れやすい、根気がなくなる、頭がぼーっとして考える根気がない、関節が痛む、生理不順になる、驚きやすくなる、ちょっとのことでも恐れてびくびくする、めまいがする、寒さにあうと震えがきやすい、腰部がひきつって痛む、腰部や背中に寒を感じる、足がほてって痛みを発する、のぼせる、肌に潤いがなくなり黒光りする、頬が赤く顔面がほてって酒に酔ったように体がだるく動きが鈍くなる、手足が冷たいのにほてる、手足がだるく痛みがある、手足が冷えやすくいつも冷たい、寒さや暑さにも弱い、安眠しにくい、ささいなことが気になる、下腹に力なくだぶつく、腰に力が入らない、下腹が固く力が入らない、水が胃にたまって吸収しにくい、飲食に味を感じない、食してすぐ飽き時がたってすぐに欲しくなる、歩行してすぐに疲れる、速く歩くとすぐに息切れする、小便頻数して出にくい、小便の色清白・赤濁、夕夜に寒くなったり暑くなったりして冷や汗がでる、骨折しやすい、うわごとをいう、リンパ腺が腫れる、耳に痛みや重圧感を感じる、微熱が続く、まぶたにむくみが出る、腹部全体が硬くなる、下腹部に力が入らなくなる、腹部が垂れ下がる、後頭部が重く痛い
(施術方針)
腎を補い回復能力の向上を図り、生理痛・無月経・過少などを調節します。主として腹部のツボ(関元)、足の内側のツボ(復溜)を選んで、鍼にて失った機能を補います。
V-2(冷え性) 寒の侵入による生理痛・過少・無月経などのトラブル(上記の生命力低下と連動して発症する場合がほとんどです)
これは寒が気の通路に影響し、そのために血液が凝滞して、気の流れが阻止されると生理痛・過少・無月経などのトラブルが起こります。寒が子宮にあると、下腹部が冷えて痛みます。また、体熱を生じる機能を損傷すると手足の寒証、極度の寒がりなどが起こり、腹部の寒や痛みが増強します。
(症状、所見)
ア 主要症状・・・生理痛・過少・無月経などのトラブル、経血量は少なく、経色は暗紅、経質は正常または血塊を伴います
イ 舌脈所見・・・舌の色は淡い紅、舌の上の付着物は少なく白い、脈は遅くて緊張しています
ウ 普段から見られる症状・・・U-1の症状のうち特に、下腹部の寒や痛み、温めると軽減、顔色は青白い、手足の冷え、寒がり
(施術方針)
子宮の気の通路を温めて通りを良くし、寒の除去を図ります。主として腹部(関元)、足の内側の経絡(太けい)や胃の経絡(足三里)を選び、鍼にて寒を追い出します。
◎生理痛・過少・無月経などのトラブルにならないために次の点に注意して日常生活を過ごすことが大切です
(性生活を節制する)
ホルモンは貴重な生命源の命腎であり、度を過ぎると、非常な腎機能低下を起こします
(過飲食を避ける)
どんな飲食でも、その人の消化力を超えて摂取すると、著しく腎系を機能低下させます
(糖質分の過食を避ける)
過食は腎によくないが、中でも甘味の強いものは特によくありません。炭水化物の米飯・せんべい・うどん・パンなどの糖質類も、過食すると腎系が極度に機能低下を起こします。
(糖質の過飲を避ける)
甘味の多く入っているジュース類・コーヒー類、紅茶・ココアをはじめ、糖質分を含んでいる酒類などの過飲・常飲は腎系を機能低下させます。
(間食を避ける)
間食は食間を短くするものです。消化器のシステムとして胃は消化が終わって腸に送り込むとその間は休息できます。そして、今まで胃に来ていた消化力は腸に結集されて、腸の消化運動が健全に行われます。しかし、間食をするとせっかく胃が空になっているところに、食物が入ってくる。すると腸に結集している消化力が再び胃の方にとられ、腸の消化力が半減されて、集中消化が不能となりす。このようなことを繰り返していると、胃神経と腸神経の働きのバランスが崩れて、胃と腸の双方ともに消化力が減じて、胃腸系に亢進を起こします。その負担が腎系にどっとかかってきて、腎系障害を起こします。
(夜食をやめる)
一日で一番消化しやすい時間帯は日中で、夜間は心臓が休み、脾系(前々ページ参照)は口から摂取することをやめて吸収作業をしているときです。この健全な生理条件を破って夜食をすると、夜の主宰者である腎に最も迷惑がかかり、腎系・脾系・心系が機能障害を起こします。
(フルーツの常食を避ける)
現代はフルーツが旬に関係なく出回っていて、どんな種類のフルーツでも、比較的安価で容易に食べられる。以前はフルーツなどはあまり食べなかったし、日本人は植物食であるから、フルーツはそれほど必要としません。ところが最近はフルーツも毎日口にしない人が少ないくらいになっています。フルーツは少しでも過食すると、必ずといってよいほど内臓を冷やします。フルーツの常食は、腎を傷つけ、肝(前ページ参照)や心を障害し、その人の体質の欠点を障害します。旬を間違えて食すのは最もよくありせん。
(夕夜の冷質飲食を避ける)
日中や朝は、体内に入って寒となるものでも多少なら構いませんが、夕夜は少しでも冷えになるものはいけません。夕夜のフルーツや生野菜などはよくありません。冷たい飲食はとくに腎系に機能障害わ起こします。
(風呂上りに冷たい飲み物は飲まない)
冷たくて体を冷やす飲み物は一年を通じて飲まないほうが良いのですが、子供や若い人たちは好ん飲んでいます。特に風呂上りのジュース・アイスコーヒー・アイスクリーム、ビールなどの冷たい飲み物が欲しくなるものです。しかし、お湯の中で体組織が拡張され、上がって寒冷な外気に体表を冷やされ、あげくは胃中に冷水なるものが入ってくれば、二重の冷えがなされ、胃が萎縮を起こし、極度な腎障害を起こします。
(夏の冷たい飲み物の過飲を避ける)
夏だからといって冷たい飲み物を、量や時間をかまわず飲んでよいわけではありません。夏はとくに腎系が休む時期に入り、機能を傷めやすい条件になっています。また、腎系が弱いと病的に冷たい飲み物を好みますから弱い腎はさらに障害されやすいのです。
(アルコールや水類の過飲を避ける)
アルコールは糖質分としても腎系によくないが、つい飲みすぎる傾向があるので、水液過剰となって、水分コントロールをしている腎系の負担になります。すべての飲水は、摂取過剰となれば、腎系負担となり、機能低下を起こします。
(辛味の常食をやめる)
とうがらし、こしょう、カレー、にんにく、生ねぎなどの辛味の強いものを常食すると、腎小体を強刺激させ、腎に弱りを生じさせます。
(塩分の過食を避ける)
塩からい漬物や、味噌汁などを常食して塩分を過剰摂取すると、塩分は体組織を必要以上に収縮させて、循環障害をを起こし、体液代謝に変調を来たし、心系・腎系に機能低下を来たします。
(夏の寝冷えに気をつける)
寝冷えはいつでもよくありませんが、特に夏の終わりの寝冷えは、冷えが体表のみにとどまらず、体内深くまで入り込んでしまうので、深部を司る腎に悪影響を及ぼします。
(深夜勉強・深夜テレビ・徹夜作業・深夜作業・宵っぱりをやめる)
夜9時をすぎたら寝るというのが自然律動に沿っています。この時間は肝系(前ページ参照)・心系・脾系(前々ページ参照)は完全に生理作用を減動し、肺系・腎系が盛んに働いているときです。腎系は耳や目を使わずに、床に臥して寝ていないと完全に働けません。それなのに寝るべき深夜に起きて活動しているということは、心・腎・肝に過剰労働がかかり、三者いずれも機能障害を起こします。
(立ち仕事のしすぎに気をつける)
立ち仕事をする職業は、一箇所にじっと立っていることが多く、背骨をはじめ、各関節に重量がかかり、腎系機能を低下させ、生理痛・過少・無月経などのトラブルに悪影響です。
(体を冷やさない)
寒冷中にさらされたり、冷房の効いた室内に長時間いるのはよくありません。冷房は、自然界の働きによって体表はじめ体組織が開いているときに、人工的に冷やされるから、寒は深部に入りやすく、また、短時間のうちに、冷気から熱気、熱気から冷気と急展開するので、体の温度調節が狂いやすく、自律神経の失調にもつながります。
(下痢に気をつける)
心系や腎系が機能低下を起こしても下痢をするし、下痢をしても心系や腎系が機能低下を起こします。下痢が続くと、体がだるくなって、下腹に力がなくなります。
(胃腸障害に気をつける)
胃腸障害を起こすと腎機能が低下するし、腎機能が低下しても下痢を起こします。
(タバコは論外)
生理痛・過少・無月経などのトラブル(寒証):東洋医学(鍼灸)の豆知識
「腎」とは?
ア 腎は精を蔵し、生命力の根源である原気(元気)をもたらします
父母から受け継いだ先天の精は、腎に内蔵されています。この精は、飲食物から造られる後天の精によって、常に補充されています。精は生命力と成長、生殖力(子宮・卵巣などを含む)の根源です。この精が腎により活性化されたものが原気(元気)です。人間は、この腎の働きが盛んになるにつれて成長し、生殖能力を生み出します。腎精が充実していれば、原気(元気=基礎活力)も盛んで、活動的で疾病にもかかりにくく、また、根気がいる細かい作業をやり通す力もわいてきます。腎気が衰えると元気がなくなり、活動が低下し、身体が冷えます。また、生殖能力も低下し、疾病にかかりやすく、治りにくくなり、様々の老化現象を呈します。
イ 腎は津液を主り、全身の水分代謝を調節します
脾が胃において、飲食物から分離して上に送り、肺が全身に散布した津液は、不要となった後腎が、これを集めて処理します。津液全体を調節しているのが腎です。この水分調節がうまくいかなくなると、浮腫・尿閉や頻尿・下痢などの症状が現れます。
ウ 腎は骨を司り、その状態は髪に反映する
腎精は髄を生育します。髄は骨の中にあり、骨に栄養を与えています。腎が正常であれば、精が十分あり、髄が充実するので骨も歯も丈夫です。また、髪も黒々とつややかで、良く伸びます。腎精が不足していたり、老化(若くても起こります)により衰えると、発育不良や老化に伴う歯牙の異常、骨がもろい、腰が曲がる、白髪・脱毛などの症状があらわれます。
エ 腎は耳と二陰に開く
腎は耳を通して外界と交流しています。腎精がしっかりしていれば、耳は音声を良く聞き分けて判断できます。老化(若くても起こります)などにより腎が衰えると、難聴・耳鳴りなどの症状が現れます。腎はまた、水分を調節し、調節した結果が大小便となって体外に排泄されます。大小便口が二陰(前陰=小便口、後陰=大便口)です。大小便の異常は、腎の異常でもあります。
カ 腎の液は唾です
腎は歯牙を支配しています。歯牙の生えているところから出る液が唾です。
〇「腎」のまとめ
以上ア〜カをまとめると、「腎は納気を司る」となります。これは、深い呼吸に関わるもので、吸気を臍下丹田まで取り入れて、精を元気に化し、これを活性化します。腎機能が弱いと、この納気作用ができず、浅い呼吸となったり、呼吸困難などの症状があらわれ、生理痛・無月経・過少なども悪化します。
〇「命門」
腎精の働きのうち、基礎活力をもたらす「元気」と、子孫を残す大切な働きの「生殖」について、これを命門の働きいいます。命門はもっとも根本的な生命力の宿るところであり、腎の働きの一部を指しています。
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