即効性を目指す鍼灸−無月経

(概略)

虚弱体質者は先天のエネルギーが不足することにより、生命力が減退し生理が起こらなくなり、治療を必要とするようになります。実証体質者はエネルギーは生産されていますが、それが詰まって出てこないため、生理が止まります。無月経の原因や症状などを東洋医学的な鍼灸の立場から分析すると、以下のとおりです。

A分類
A)虚弱体質型・・・先天のエネルギー不足を根底として、精神的ショック、性生活の不摂生、運動しすぎ(逆に運動不足)、自然の摂理に反した生活習慣(深夜0時以降の就寝)などにより、血に対する機能が失調すると無月経になります。
B)肝うつ気滞型・・・多大なストレス充満を根底として、怒りやいらだち、情動不安定、交感神経の使いすぎ、仕事のしすぎ、睡眠不足、運動不足などにより、血に対する機能が失調すると発症します
C)陰虚型・・・いわゆる「ほてり」タイプです。就寝時などに掌・足の裏がほてって布団の外に出そうとします。頬は赤くなりがちで、寝汗をかきます。生命力の陰と陽のバランスが崩れ、陰(冷やす機能)が衰えるため、相対的に陽(温める機能)が頭一つ上に出るため、ほてるわけです。これを虚熱といいます。この熱のために血が乾いて不足し、生理の量が少なくなって、無月経になり、鍼灸などの措置を必要とするようになります。
D)痰湿停滞型・・・食べ物を消化吸収するのですが、それを全身にめぐらせる機能が弱いために、身体に余計なモノが蓄積します。そして、それらがスムーズな排出を邪魔して無月経になります。アマリモノは色々な形で現れます。肥満・痰・血の塊・帯下などです。アマリモノが溜まっているわけですから、悶々として気分が晴れず、特に湿度の高い日は苦手です。
E)腎虚型
10代後半になっても生理が来ない。または、平均よりも遅い年齢で生理が来たが、過少から生理が止まることに以降したのがこの型。先天的腎陽虚弱のため、脾(消化吸収→身体中にエネルギーを行き渡らせる)を養うことができないため、血の生成が低下するのが要因です。他には、慢性病が腎を損傷したり、堕胎などが原因となり、無月経の治療が必要になることもあります。

B鑑別
A)は典型的な生命力の弱いタイプであり、B)はA)よりも生命力が強いタイプにみられます。A)は先天エネルギー不足による耳鳴り、めまい、腰の重だるさ、将来に対する不安、うつなどを伴う場合があります。B)は乳房や脇腹部の張り、不眠、 ヒステリー、腰の外側・太ももの外側が痛い、などを伴う場合があります。C)は閉経期に似た症状があらわれるとともに無月経になり、D)は全身倦怠感が強くあらわれます。これらは全般的に鍼灸の適応に入ります。

C無月経の証別解説
A)虚弱体質型」・・・冷え性 型に相当
(概略)
虚弱体質のために生命力が空虚となり、血に対する機能が失調することで生理が止まります。東洋医学的な鍼灸では、内臓の弱体化=精神力の弱体化 と考え、近代科学的な考えのように、身体と精神を切り離して考えることはしません。極度の冷え性の人に多くみられ、最も辛いのが精神的葛藤です。具体的には、不妊(妊娠できるか心配)・うつ・将来に対する不安・降りかかる火の粉を払えない・不感症・カリカリするなどの症状が、無月経と併行して現れます。
(症状・所見)
@主  症・・・不妊(妊娠できるか心配)・うつ・将来に対する不安・降りかかる火の粉を払えない・不感症・冷静さを失い自分が見えなくなる
A舌脈所見・・・舌の色は淡く、舌の付着物は薄く、脈は沈んで弱い
B随伴症・・・精神不振(うつ他)、胃腸虚弱、不感症、耳鳴り、めまい、腰の重だるさ
(鍼灸の施術方針)
生命力を補い血の回復を図り、無月経を改善します。足少陰腎経という気血のルート上のツボを選び、鍼灸において気血を補います。運動しすぎによる場合は、このタイプです(参考:undoubu.html)。


B)肝うつ気滞型」・・・イライラ型に相当
(概略)
多大なストレスが蓄積することにより、気血の通りが悪くなることで、生理不順→周期が長くなる→無月経になり、鍼灸などの施術が必要になります。元来の体質に加え、ストレス社会の影響によるものとして、仕事のしすぎ・交感神経の過剰亢進・生活環境の変化への適応障害などがみられます。
(症状・所見)
@主  症・・・ストレス過多、腰や太ももの外側が痛い、怒りっぽい、不眠、不妊(妊娠への不安)など
A舌脈所見・・・舌の両側や先端は紅色、脈は緊張して筋張っている
B随伴症・・・乳房・脇腹部の張り、よくため息をつく、周囲との衝突、神経興奮、いつも顎に力が入っている
(鍼灸の施術方針)
詰まっている箇所の改善を図り、気血の通りをよくします。足蕨陰経のツボを選び、無月経の施術を行います。


C)「陰虚型」・・・エンジンオイル枯渇タイプに相当
(概略)
掌、足の裏がほてり、頬が赤くなり、寝汗をかきます。これは陰が不足することによる熱です。この熱が原因で血が乾いて不足し、量が少なくなり、やがては無月経になります。
(症状・所見)
@主  症・・・不快なほてり、などがある
A舌脈所見・・・舌質が赤い、舌の上の苔が少ない、脈が細くて速い、
B随伴症・・・不眠、痩せる、夕方熱感を感じる、咳、痰
(鍼灸の施術方針)
ハリを中心として余計な熱を冷まし、無月経の施術を行います。


D)痰湿停滞型
(概略)
痰湿が気血の流れを滞らせることで、気血が枯渇すると生理が来なくなる。痰湿が胃腸の消化吸収→全身に散布の機能を邪魔するため、余計な水分・湿気が停滞して胸が悶々とします。
(症状・所見)
@主  症・・・湿度に弱い
A舌脈所見・・・舌の上の苔が多く、白や黄色を呈する。脈は滑らかに流れる。
B随伴症・・・疲労倦怠感、湿度に弱い、肥満、浮腫、むくみ、など
(鍼灸の施術方針)
ハリを中心として、消化吸収→全身に散布の機能をスムーズにして無月経の鍼灸 施術をします。


E)腎虚型
(概略)
生来の虚弱体質のため、エネルギーが不足し生理が来ない。そのため、平均的な年齢よりも初潮が遅れたり、悪化すると生理不順→止まる・・・となります。
(症状・所見)
@主  症・・・無月経に伴い、脚腰がだるく、めまい、耳鳴りがあることもある。
A舌脈所見・・・舌は淡い色で、苔は少なく、脈は沈んでいて力がない。
B随伴症・・・腰が重くだるい、めまい、貧血気味、耳鳴りなど。
(鍼灸の施術方針)
はり、きゅうを併用し、エネルギーを活性化し無月経の施術を行います。鍼灸によるターゲットは腎と脾です。

※タイプ別区分は他にも多数ありますが、全てを網羅することはできないため、セオリー的なものを載せました。

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