〇排卵〜生理前の体調不良については、激烈な精神神経症状が出るケースがあります。メカニズムでもご説明したとおり、排卵〜生理前には肝気が高ぶりますから、異常亢進すればヒステリー・イライラ・易怒などが出現し、逆に異常減退すれば暗い底なし沼に落とされたような鬱(うつ)があらわれます。普通の症状であれば、疎肝理気というアプローチをすればスッと楽になります。刺鍼が終わると同時に「スッキリした」という方もいます。
〇しかし、そこに痰湿などが絡んでくると、通常の疎肝理気というアプローチでは改善しない場合があります(西洋医学の痰とは違います)。私もそれが分からずに改善できなかったことがありました。痰湿タイプの特徴は、舌の上の苔状の付着物がベッタリとこびりついていることです。そこに熱が加わると黄色くなり、熱が関係なければ白色です。今では、そのようなカラクリが分かり、改善することも珍しくなくなりました。
〇昔の人は「奇病は痰に求む」といいましたが、まさにそのとおりで、肝気うっ結+痰湿→精神神経症状、生理前に下腹部がシクシクする、激烈な生理痛、吐き気、不眠、うつ・・・増悪すると→人を罵倒する、モノを壊す、いても立ってもいられない、めまい、自分を制御できない、死にたくなる、パニックになるetc。これを予防するためにご自身でできる養生法としては、肥甘厚味&辛辣酒酪な食べ物を避けて腹八分を守り、運動は欠かさない・・・などです。つまり、肝気うっ結も痰湿も気やアマリモノが篭(こも)って動かずに苦しいわけですから、篭る原因を体内につくらないことと、気が滞らないように動くことが大切です。
〇こうしたことは、昔の人はよく知っていたようです。「女子は肝を以って先天と為す」「奇病は痰に求む」という言葉は名言だと思います。
(2011.4記)
〇下痢は心身に良くない。心身に取り込まれるはずのエネルギーが出て行ってしまうわけだから、虚弱が増悪することになる。私が鍼灸を始める前は、虚弱=下痢というイメージがあったのだが、鍼を始めてからは必ずしもそうではない事例に日常的に遭遇している。
〇下痢よりも便秘する虚弱体質者が女性には多い。これは妊娠したときに胎児を引き上げておくために、ヘソから下を上に上げる力が働く、ということらしい。そして、これらの方々に共通してみられる症状のひとつに”心臓バクバク”がある。
〇つまり、下に行けないから上に昇ってくる。その結果、心(臓)に違和感が現れるようだ。実は私自身もそれを経験している。私は元来が虚弱体質で下痢しやすいのだが、もっと生命力が低下すると、便秘方向に傾いて下痢しない。その代わり、心臓がバクバクするのだ。
〇このことは、何も心臓バクバクが下痢よりも悪い、ということではない。あくまでも私の場合であって、万人に該当するわけではない。ここでいいたいことは、「下痢しないから私は虚弱ではない」とする短絡的な発想は間違っているということだ。総合的に判断して決めるべきで、ただ1つの事象をもって決めるべきではない。昔の人は、これを四診合算といった(望診・聞診・問診・切診すべてを合わせて判断することの意)。
〇何はともあれ、下痢も心臓バクバクも身体に良いはずがない。心臓の違和感、下痢、いずれの場合も生命力を低下させる要素であることは間違いないので、早めに手を打つべきでしょう。
(2011.04記)
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