不妊と他の月経 異常との違い

〇不妊の改善については、「ホルモン補充療法を中心として、鍼灸や漢方は補助的に・・・」という考え方が一般的だと思いますし、鍼灸院経営者もそう考えている場合が多いでしょう。しかし、私は違う考えをもっています。本来の鍼灸の威力はそんなものではなく、場合によっては西洋的手法に準じる強さを有すると確信しています。それは、患者さんにご迷惑をかけながら紆余曲折を経てたどり着いた結論です。

〇東洋的手法だけで不妊の改善を望んだ場合、「鍼灸は自然治癒力を利用して無理なく・・・」というキャッチフレーズどおりではモノ足りないと思う方も多いでしょう。不妊と他の月経異常は横つながりですが、大きな違いが1つあります。それは、不妊の改善は体調が良くなるだけでは目的を達成できない点です。もっといえば「ある程度の身体の違和感を覚悟してでも妊娠したい」という点です。そのため、不妊 施術については、ホルモン治療に準じるくらいの強力なアプローチを加える必要も、場合によってはあるのではないかと思います。

〇当方では不妊 施術へのアプローチについて、2通りの選択肢を用意しています。@無理なく自然に妊娠を望む。妊娠するかどうかは自然の摂理に任せる。 A自然に委ねるのではモノ足りない。ある程度の身体の違和感を覚悟してでも強いアプローチを望む。

〇今回のテーマはAについてです。Aを鍼灸で行おうとした場合、五臓六腑の最も深い部分(腎)にアプローチして、生命力全体をパワーアップする必要があるため、施術後に違和感が現れる可能性あります。西洋科学的手法ほどではありませんが、強くアプローチしたならば、このような傾向は出て当然ともいえます。違和感の具体例としては、施術後のイライラ・ほてり・咽喉、(西洋科学的手法の影響が強く残っている場合は)不正出血など、また、月経後半に体調不良などが出現する可能性もあります。ただし、西洋科学的手法のように外部から注入するわけではないので、アマリモノが育つことはありません。また、強さについては調節することも可能です。

〇私の鍼灸に対する考え方はハッキリしています。「効いているのかいないのか分からない鍼灸であれば、施術する意味がない」ということです。ハッキリと効果を自覚できる施術こそ、お子さんをお望みの方には求められていると思います。そんな私でも、不妊 施術についてはのり気ではありませんでした。理由は、本来の鍼灸の王道は上記@であるからです。しかし、お子さんが欲しくてお悩みの方は病的状態にまで陥っている、という現実があります。私が@を貫いた結果「西洋科学的手法を受けたのはよいが体調を崩して大変だ」とする訴えを聞くに従って、「患者さんが望むならAもやぶさかではない」と思うようになりました。

〇大正〜昭和初期に活躍したお灸の名人の施術方法は、腎へのアプローチが中心だったそうです。どんな主訴の患者さんにも腎を中心に施術したため、不妊とは別の病名で来た患者さんの中にも妊娠した人が続出したそうです(当時は体内の生態系も現代ほど乱れていなかったので尚更でしょう)。それほどまでに、腎と妊孕力(にんようりょく)は関係が深いのです。また、古来からある鍛錬法・養生法(太極拳・呼吸法・導引・坐業など)も全て腎(臍下丹田)を中心に成り立っています。私自身も極度の腎陽虚で苦しんだ時期があり、また、友人が腎虚の極み(脳脊髄液減少症の極み)で死を意識するまでに至った経緯もあり、腎については深く追求した結果、年単位で止まっていた無月経でも月経を起こさせられる可能性が高くなってきました。それならば、この技術を不妊 施術のために使おうと思うに至りました。

〇私もできれば西洋科学的手法と仲良くしたいのですが、鍼灸の威力が深い所まで及ぶようになった頃から、それはできなくなりました。代わりに、鍼灸単独で生命力(≒妊孕力)をパワーアップできるケースも出てきました。普通の方にこのような説明をしても信じてもらえるとは思っていませんので、多数派の方は西洋科学的手法を受けながら、他の不妊専門鍼灸院などへ行った方が良いでしょう。それ以外の少数派の方は、気が向いたら当方へお来しください。熱心に妊娠をお望みの方ならば、上記Aの手法もやぶさかではありません。


※深い部分に強くアプローチするとは、「太い鍼を刺す・深く刺す・痛く刺す・熱く据える・・・」のとは意味が全く違います。当方で刺鍼する深さは浅く、腹や背中については3mm以内です。また、鍼の太さは1番鍼(市販の鍼では2番目に細い)を使用しています。なお、灸は肌に直接は据えず、緩和紙の上に据えています。
※改善率は100%ではありません。

(2011.1記)

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