月経トラブルと食べ物

〇間違った栄養の摂り方
最近、はびこっている栄養の摂り方は間違いも多いです。栄養の摂り方が正しくないので、月経トラブルの患者さんも減少しません。先日も友人づきあいで「栄養満点定食」を食べました。メニューはご飯・みそ汁・漬け物・豆腐・ハンバーグです。どこが問題なのでしょうか?そうです、ハンバーグが余計なのです。「ハンバーグがメインディッシュでしょ」という反論が聞こえそうですが、それは間違った栄養の摂り方が身についてしまっている証拠です。

〇頭で考える欲望
たんぱく質や脂肪が不足している人は、ハンバーグは貴重な栄養素です。しかし、日常的に肉食過多になっている私たちは、もっと質素な食事を心がけるべきです。キーワードは「昔の人が食べていた日本食(粗食)」です。ご飯で炭水化物、豆腐でたんぱく質、漬け物でビタミン・ミネラル・・・、これで完璧です。それにブラスして、ハンバーグに匹敵する肉類を常時むさぼる食生活をしていれば、余計なものが身体にたまり、月経トラブルにも良くありません。ハンバーグなどの肉食を身体が要求しているのなら良いのですが、多くの場合は頭で考えた欲望が生み出す不必要な食欲なのです。

〇ファーストフード
これが、ファーストフードとなればなおさらです。ハンバーグとパンしかない・・・など当たり前ですから、余計なものを身体の中に溜め込むために食べているようなものです。もちろん、他の国のような食糧不足の人々にとっては、脂肪やタンパク質が最も貴重な栄養素であることはいうまでもありません。ファーストフードが悪いのではなく、偏ることが悪いのです。

〇肉類を食べないと力がでない?
「肉類を食べないと力がでない」と言う人がいますが、それは癖がついているのです。肉類は身体機能を一時的に異常亢進させます。つまり、身体機能が急上昇した後、急降下します。この急上昇の時に、身体機能が上がったかのような錯覚を起こします。その後の急降下の時には、休憩時などにコーヒーやお茶などの神経興奮作用のある飲み物などで再び身体機能を異常亢進させるので、急降下したことに気づきません。

〇月経トラブルにも悪影響
こんなごまかしの飲食生活をしていると、月経トラブルを主どる肝・脾・腎(参考:五行色体表)の三臓を損なってしまいます。数日・数ヶ月ならば問題ありませんが、年単位で続ければ月経トラブルの症状として現れてきます。しかし、原因が飲食であるとは気づきません。

〇病名のつかない症状が蔓延(まんえん)
「現代の食生活はバランスが取れている、だから平均寿命も長い」と言う人もいますが、平均寿命が長くなっても、健康寿命が長くなければ意味がありません。健康寿命が重要なのです。健康寿命はどうでしょうか?鍼灸施術者としての立場からみると、明らかに下降しています。「病名のつく病気ではない。だから健康だ」という単純な発想でかたづけられがちですが、本当の健康体の人はほとんどいないと思います。まさに1億総半健康人時代です。不眠、イライラ病、会社で身についてしまった保身癖、胃腸虚弱、腰重だるい病(腎虚証)、冷え性、生命力減退、簡単に切れる病・・・など挙げたら切りがありません(これらは、全て私が会社勤めをしていたときに経験した症状です)。まさに病名のつかない病気だらけです。本当にこれが健康といえるのでしょうか?こんな状態で寿命だけが延びることが本当に良いことなのでしょうか?月経トラブルでお悩みの皆さんは、顕著に感じているのではないでしょうか?

〇かつてなかったイライラ症状
かつて我々農耕民族は、お日さまとともに生活してきました。肉体的には厳しい労働に従事していても、今よりのんびりとした生活をしていたはずです(もちろん、悪い部分もそれ以上にあった思います。きれいごとではすまないでしょう)。それに比べて、コンクリートに囲まれた中で間違った文化生活をしている私たち現代人は、便利で楽になったようでも、かつての人々が経験しなかった症状にかかっていると思います。月経トラブルもその1つでしょう。

〇「沖縄の人たちは昔から肉類を食べているが健康だ。肉類も含めて色々なものを食べるのが良い」も単純な発想です。肉類の代わりに大豆や魚を食べた場合と比較していませんし、例え比較したとしても個々人によって全く違うので、一概には言えません。人にはキャパシティ(=容量、収容能力、うつわ)があります。肉類から摂取した脂肪をはじめとする余分なものを、体外へ排出するだけの内臓の力を持っている人にとっては、肉類を日常食としても害は少ないですから、肉類から得られる栄養素も活きて来るでしょう。しかし、虚弱が強く出ている人の場合はその能力が弱いですから、余計なものが体内にたまります。脂肪だけならよいのですが、それ以外にも邪(オ血や熱など)がたまる可能性があります。とにかく「通り」の悪い身体になります。同じ量の肉類を食べても、人によって全く違うといえます。しかし、現代の欧米流肉食栄養学では「人は皆同じ」という観点から栄養について論じていますので、実証や虚証が強く出ている人は救われません。月経トラブルをはじめ、様々な生活習慣からくる症状の下地をつくることになります。しかし、肉食の常食が原因になっていることには最後まで気づきません。

〇食事に求める楽しみ
「食生活に楽しみを求めるな」とは言いません。しかし、本当の楽しみについて考える必要があると思います。運動してお腹がペコペコになったときは、質素な食事が本当においしく感じます。ごはんに漬物だけでも、心底おいしいです。逆にストレスをためこんでいる時は、甘いものや肉類などの口がおごるような食事をしたくなります。どちらが本当の楽しみでしょうか?「そんな食事じゃ、つまらない」という人は、本来もっていた本当の楽しみ方を忘れていると思います。

〇正しい飲食生活の見直し
仕事は厳しいものです。サラリーマンやアルバイトとして給与を稼ぎ、自分や家族の生活を支えることは本当に大変な事だと思います。そんな大変な生活をしていると「仕事さえうまくいけば良い」という毎日になりがちです。仕事のストレスを発散することが第一目的となりますから、食べ物に間違った楽しみを求め、不摂生が日常的になります。そして、その不摂生を正当化する理屈を支持することになります。多くの人たちがこのようになると、テレビや雑誌もその人たちの支持を得るために、その人たちにとって都合の良い理屈を放送・掲載します。〇〇専門家などの権威ある人を引っぱり出してきて、ある側面のみからの栄養学を展開しながら現代の食生活を正当化しますので、視聴者や読者は喜びます。そうなると、間違った栄養の摂り方が正当化され、かつての日本人が実践してきた正しい食事が忘れ去られていきます。政治と同じで、どんなに正しいことを主張しても、それを支持する人がいなければ空論になります。しかし、間違った食事の摂り方を支持している人たちも、本当は伝統食の良さに気づいているのです。けれども、不摂生を正当化したい欲望の方が強いですから、「甘いものはダメ」「肉の常食はダメ」などということを主張しても耳を傾けません。

またまた、自分のことを棚にあげて偉そうなことを言いましたが、もう一度正しい飲食生活について見直す必要があることは間違いないでしょう。

(2008.10記)

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