〇「どうして、私だけこんなに生理痛で辛い思いをしなければならないの?」「何も悪いことしていないのに・・・。」生理痛にお悩みの皆さんは、そんな思いに悩まされていることでしょう。そんな患者さんをみていると、かつての私を思い出します。何を隠そう、私が鍼灸の道に進むことになったのも、同様の悩みがきっかけです
〇私は男ですから、生理痛の苦しみは分かりません。しかし、元来、虚弱体質で、不眠や、特に胃腸虚弱で苦しんだ経験があります(他にも症状をあげたらきりがありませんが・・・)。10代の頃は、1日おきに下痢をして腹痛(激痛)に悩まされ、吐き気も時々ありました。特に湿度の高い日は、腹部のしくしくとした痛みが何日か断続的に続いて、夜眠れない日もありました。胃腸の消化吸収が悪く、成長期に成長できなかったので、今も身長は159.5cmしかありません。医師の診察も受けましたが、「よく噛んで食べなさい。薬出しておくからね。」と言われて終わりでした。1度下痢をすると、甘いものが異常に欲しくなり(それは狂気的でした)、どうしても我慢できずにココアなどを少し飲んでも、胃がもたれて仕方ありませんでした。「なんで、自分だけがこんな思いをしなければならないのか!?」「何も悪いことをしていないのに・・・。」と歯ぎしりしたものです。
〇原因が分かれば対処のしようもあります。何か自分に落ち度があったのならば、反省もできるし、あきらめることもできます。しかし、食べる量も最低限にし、これ以上摂生のしようもない生活をしているにも関わらず、これらの痛みが続くと、どうして良いのか分からなくなり、叫び出したくなりました。友達や家族に当たったり、いつも調子の悪い顔をしているので、周囲の人からは「あの人は近寄りがたい」「顔が怖い」「神経質だ」などと陰口を言われたり、時には直接言われることもありました。「のうのうと生きているお前らにこの苦しみが分かってたまるか・・・」「俺だって調子がよければこんな顔してないよ・・・」と、周囲の人や世の中を恨んだりもしました。何をしているときでも、胃腸虚弱や不眠、その他の症状のことが頭から離れず、健康関連の本を読みあさったり(生理痛にお悩みの方もそうではないでしょうか?)、時には裁縫の針を自分のツボに刺したりしていました。
〇また、通信販売(通信教育?)で「健康になって背も伸びる」という謳い文句の商品を、高いお金を払って購入しましたが、効き目はありませんでした。いろいろ試した中で、唯一効果を示したのは身体を鍛えることでした。東洋医学の本に「足を鍛えれば気が満ちる」と書いてあったので、ヒンズースクワットなどを毎日やった結果、胃腸の調子も徐々に良くなり、食事も以前よりおいしく食べられるようになりました。このことをきっかけに運動に興味を示すようになり、合気道を始め、やがて空手にも没頭するようになり、その後、紆余曲折を経て、鍼灸の道に進みました。鍼灸の道に進んだ理由は、周囲から身体の不調を理解してもらえずに「根性なし」のような言い方をされてしまった自身の経験から、それらに悩んでいる人を自分の同士のように思えたからです。
〇「救ってあげたい」「癒してあげたい」などという親切心からではありません。ましてや、役に立ちたいなどという善良な気持ちともニュアンスが違います。そんなきれいごとではなく、もっと差し迫った気持ち、一言でいえば「自分を苦しめた敵(痛さ、違和感などの不快な症状)に対する復讐=(大げさに言えば)それらを病気と認めない世の中に対する復讐」とでもいったものです。
〇それらの症状を鍼灸 施術で改善できたときのよろこびは、何ものにも替えがたく、私の復讐心も満たされます。まさに「鍼灸師冥利につきる」とはこのことです。身体が不調なときは、全てが狂ってきます。前向きな気持ちなどなくなり、人間関係、仕事、その他全てがうまくいかなくなり、とても幸せな気持ちにはなれないでしょう。時には、この世に生れ落ちたことまで恨むこともあるでしょう。
〇生理痛をはじめとする月経トラブルはそんな復讐心に満ちた?私にぴったりの症状です。幸い、いくつもの臨床経験を重ねた結果、改善される患者さんも増えてきました。生理痛・子宮トラブル施術独特の鍼の回し方や、呼吸との合わせ方、深さ、強さ、タイミングなども、一応は私の中で結論が出て、私の復讐心?も徐々に満たされつつあります。
〇生理・月経トラブルは人生を狂わせます。排卵期からの吐き気などを伴う場合には、ほとんど毎日不調に悩まされている人もいます。どうか皆さん、それらの症状に負けずに摂生を重ねてください。例え鍼灸
施術を受けなくても、食生活や運動面などで摂生を重ねれば、それなりに改善されるケースもあります。
〇「内臓は国民、それをセーブする意志は政治家に例えられます。政治家(意志)が自分の欲望=不摂生のままに振舞うと、国民である内臓はその影響を受けてガタガタになり、もちろん月経トラブルも増悪します。逆に、政治家(意志)が自分の欲望=不摂生を抑え、国民(内臓)のためを思って振舞えば、国民(内臓)は生き返り、月経トラブルや不定愁訴も改善される方向に進みます。皆さん、どうか養生、摂生に努めてください。
〇最後に誤解を受けることのないように述べておきますが、私はお医者さんが嫌いでなわけではありません。現代医学は必要なものだと思っていますし、歯科医で大好きな医師がおり、片道1時間半かけて通っています。しかし、元来その人がもっている内臓の弱点は、現代医学をもってしても、いかんともしがたい、ということではないでしょうか。ある正直なお医者さんにいわせると、「胃腸がキャシャだ」ということかもしれません。元々、力のないものに力をつけるのは、用意なことではないのでしょう。そして、その分野では鍼灸などの東洋医学が効果を示すこともあるということです。
〇今回、勇気を出して、私の愚鈍で恥さらしな人生を振り返ってみました。また、同時に月経トラブルで苦しんでいる方々へ、エールを送ったつもりです。読んでくださった皆さん、ありがとうございます。そして、不調にめげずに、強く生き生きと毎日を過ごされんことを願わずにはいられません。
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